一般職昇給から管理職昇給へ

私は43歳のサラリーマンで食料品メーカーに勤める営業担当者です。大学を卒業してから今日まで勤続20年を迎えました。わが社の昇給制度は、入社してから5年間は定期昇給制度で、1年を経過するごとにその人材の課業評価をベースに昇給額が決定され、それぞれ2000円から5000円程度、給与の月額がアップされる制度です。

5年を経過しますと、人材によっては管理職の手前である主任やリーダー職に就く者も出てくる為、一般職と同じ定期昇給制度ではなく、管理職候補者昇給制度に切り替わります。とはいっても基本的には一般職と同様の評価制度で、その人材が1年間の課業目標をどれだけ達成したかで、その昇給額が決定されるのですが、その課業評価の中に「メンバーの育成」や「チーム全体の進捗管理」といった「プチ管理職」的な要素の目標設定がなされ、上職(管理職)との面談でその設定と評価の共有がなされ、適用される制度です。

そんな制度のある会社ではありますが、私の場合は全国の支店をあちこちと移動する現場の人間で、主任になったのは10年前。後輩たちがどんどんと出世をしていく中で、就職をしてから10年間は一般職としての昇給制度の対象でした。そんな私が管理職となったのは昨年の42歳の時で、地方にある小さな支店の支店長代理となりました。おととしの12月上旬に支店長から呼び出しがあり、面談をした時に「来年1月から管理職に昇格する」内示があり、1月からの新体制に関わる打ち合わせと自分自身の課業目標設定を、主任対象としたものから管理職のものに作成しなおすこととなりました。

そして管理職となる直前の12月下旬。「次年度給与」が支店長との面談で通達される日が来ました。若い順番に支店長と面談をし、最後に私が面談を行いました。支店長は私の前に「次年度給与明細」と書かれた紙を出しました。その明細には今までの「旧給与」と次年度の「新給与」が基本給や職能給、諸手当ごとに併記されていて、一目瞭然で給与の増減が分かるようになっています。私は正直なところ、驚いてしまいました。今までは3000円とか3200円とかの昇給額だったのですが、管理職になったとたん12000円の昇給となっていたのです。月額12000円という事はボーナスも入れて換算すると年間で180000円の所得増となります。

前年度の課業評価が高かったからなのかと思い、支店長に確認をすると「新しく管理職に上がる者は一律で12000円昇給になる」との事。という事は私は別としても、仕事がバリバリとできる管理職は更に大きな額の昇給を得られているということです。 このことは想像の幅を大きく超え、まったく思い描いたことのない世界の話のように感じました。

決して景気の良くない昨今。わが社の業績も決して好調とは言えず新入社員の雇用も大幅に削られている時代ですので、正直な感想として支店長にその事を問うてみました。 支店長が相槌で同意を示しながら言った一言に私の背中が伸びました。「そんな不景気な時だから、新入社員の雇用にかける費用を、今いる社員にかけ、その管理をする者を厚遇する。その分、何としてでも我々が会社に貢献しないといけなくなる。」 今までの昇給は「年次昇給」。その会社に勤める年数が長く、歳を重ねた事に対する昇給だと認識をしてきましたが、管理職昇給はその責任の大きさを可視化する為の昇給なのだと感じました。 昨年末、管理職となって二度目の次年度給与の提示がありました。実際の支店の業績は大幅に悪化し、支店存続の危機とも言われた昨年度。当然私の昇給は2000円程度でした。支店長から提示された明細を見ても驚きもしませんし、しごく当然と受け止める事ができたのは、管理職として会社の期待にこたえる数字を上げられなかったからだと責任を感じていたからかもしれません。 管理職となり残業手当もなくなった状況では、正直なところ給与減となりますが、本年度の業績を必ず向上させ、その評価として次年度の昇給を勝ち取ってやろうという思いで仕事に取り組んでいます。